おとなのための絵本シリーズ

家族の愛に支えられて

家族の愛に支えられて(本文)

港のそばの海が見える家に、ジョセフは妻のマリスと生まれたばかりの娘のリアナと3人で暮らしていました。マリスはリアナの世話にせっせと励み、彼らの生活は幸せそうに見えましたが、ジョセフの表情はどこか曇っていました。
 
それからしばらくして、ジョセフは重たい甲冑を身につけ、馬にまたがっていました。石造りの大きな城から山の方角へ続く石畳の上には、多くの兵士が整列しています。ジョセフは彼らを率いる指揮官として、戦いに出発するのです。
 
激しい戦いで、仲間たちが次々に倒れていきます。空には黒煙があがり、傷を負った兵士たちのうめき声がジョセフの耳に悲しく響いてきます。そんな中、ジョセフ自身も足に痛烈な一撃を受けてしまいます。幸い、仲間に助けられて、戦場から運び出されました。
 
収容された修道院では、手厚い看護を受けました。ですが、戦争に負け、多くの仲間を失った悲しみと、生き残ってしまった自分を責める気持ちにさいなまれ、ジョセフの心は憔悴しきっていました。
 
そんなジョセフを励まし、勇気づけ、再び立ち上がらせてくれたのは、愛する妻のマリスと、小さな娘のリアナでした。リアナはジョセフのやつれた顔に小さな手を伸ばし、マリスは優しく微笑んでくれました。
 
家族の愛に支えられ、ジョセフは前向きに生きる意欲を取り戻し、懸命にリハビリに励みました。足は不自由になりましたが、自分にもできる仕事を探し、一生懸命に働きました。
 
そして、ジョセフはついに、自分のお店を持つまでになりました。その後もまじめに商売を続け、美しく成長した娘のリアナが、花嫁衣装を身にまとう姿を、しっかりと見届けたのです。
 
最期は心臓の病気で、ジョセフは息をひきとりました。死の苦しみはほとんどなく、家族に見守られながら、深い安らぎの中でこの世を去りました。
  
【現在の魂の気づき】
私は現在の人生で、右膝の手術を数回受けていますが、この過去世の戦いの時に受けた痛みを、ずっと手放せずにいたことに気づかされました。あの時の後悔はもう手放していいんだよ、と言われているような気がしました。今の人生で看護の道に進んだのは、亡くなった仲間や、私を癒してくれた人たちへの恩返しなのかもしれないなと考えさせられました。
この過去世に登場する妻のマリスは、今の人生で私を助けてくれている妹でした。そして、子供のリアナは、保育園の頃から今も仲の良い友達だったのです。過去世で私を救い、今も支えてくれる二人に、感謝の気持ちで胸がいっぱいになりました。この気づきは、私がこれからも前向きな気持ちで生きていくための、良い経験になりました。本当にありがとう。