おとなのための絵本シリーズ

ゼルダの希望の光

ゼルダの希望の光(本文)

中世ヨーロッパ時代。ゼルダという名の18歳の少女がいました。彼女は王家に仕える少年少女隊の一員でした。若くてもゼルダには強い責任感があり、その役割を真摯に果たそうとしていました。
 
ある日、街では激しい暴動が起こりました。王家に対する民衆の怒りが渦巻き、王家はそれを武力で抑え込もうとします。ゼルダは、王家と民衆の間に立ち、その衝突を目の当たりにしていました。
 
「戦いや憎しみからは何も生まれない」と、ゼルダは叫びました。彼女は、なんとか民衆の気持ちを鎮めようと、説得のために走り回ります。しかし、人々の怒りはあまりにも強く、誰も耳を貸そうとはしません。
 
多くの尊い命が奪われ、街は悲しみと絶望に包まれました。ゼルダは、自分の非力さを嘆き、ただ涙を流すことしかできませんでした。彼女の心には、深い無力感と後悔が刻み込まれたのです。
 
それから時が流れ、ゼルダは結婚しました。夫と生まれたばかりの赤ちゃんとともに、静かに暮らし始めたのです。戦いから離れ、家族と過ごす穏やかな日々。ゼルダは初めて平和を感じていました。そして、このささやかな幸せがずっと続くようにと願っていました。
 
しかし、その幸せは突然打ち砕かれてしまいます。かつて暴動の際にゼルダが示した「中立の立場」は、王家の強硬派によって「裏切り」と見なされました。その戒めとして、愛する夫と子どもの命が非情にも奪われてしまったのです。深い悲しみと怒りが、ゼルダの心を支配しました。
 
悲劇を乗り越えたゼルダは、再び立ち上がりました。武力ではなく、対話で解決する世界を夢見て。人々の意識を変える啓蒙活動を始めました。憎しみの連鎖を断ち切り、誰もが幸せに生きられる世界を作ろうと、ゼルダは力強く語りかけました。その言葉は、人々の心に深く響いていったのです。
 
やがてゼルダは、人生最期の時を迎えます。彼女のまわりには、ゼルダの意志を継ぐ若者たちの姿がありました。安堵と、未来への希望の光に包まれながら、ゼルダはこの世から旅立ちました。彼女の蒔いた希望の種は、次の世代へとたしかに受け継がれていたのです。
 
【現在の魂の気づき】
ゼルダが教えてくれたテーマ。それは「許し」でした。争いや憎しみからは何も生まれない。他者を責めている時、実は自分自身を責めているのだと気づきました。許しは、自分と他者を同時に解放する鍵です。憎しみを手放すことで、本当の平和を手に入れることができるのです。
これまでずっと「誰かの役に立つこと」だけが自分の存在理由だと思っていました。でも最近、それは違うのではないかと感じはじめていました。一歩を踏み出せずにいた私に、ゼルダは語りかけてくれました。「もう誰かの期待に応えなくていい。自分の人生を生きなさい」と。