寂しさを癒してくれた新しい家族の愛

サヨは日本の片田舎で、優しいお母さんと二人で暮らしていました。貧しい暮らしでしたが、お母さんの愛情が、サヨの心をいつも温かく包んでいました。サヨは外で友達と元気に遊ぶ、明るい子供でした。
　
サヨが十二歳になった年に、体が弱かったお母さんが病気で亡くなりました。天涯孤独になったサヨは、胸にぽっかりと穴が空いてしまったのを感じました。それでも必死に「寂しさや悲しさを感じないように生きよう」。サヨは、そう決意しました。
　
サヨは生活のために、町のお店で働き始めました。寂しさを胸に秘めながらも、小さな体で懸命に働き、その健気さと真面目さで、お店の人にも可愛がられました 。
　
お店の使いで、サヨは時折、町一番の大きなお屋敷を訪れました。そこで、お屋敷の息子である清隆さんと出会います。清隆さんは、いつも忙しく働くサヨを、優しく気にかけてくれました。
　
サヨが十九歳の冬、清隆さんの両親との食事会に招かれました。身寄りのないサヨは緊張していましたが、清隆さんの両親はサヨを温かく迎え入れ、「うちの子になりなさい」と言ってくれました。
　
やがてサヨは清隆さんと結婚し、二人の宝物のような子供にも恵まれました。優しい夫と子供たち、義理の両親に囲まれ、サヨの人生は穏やかな光に満たされていきました。
　
食べるものに困る心配もなく、明日への不安を感じなくていい。そして何よりも、最愛の家族と一緒に過ごす時間。それはサヨにとって、人生のすべてでした。
　
家族に見守られながら、サヨは五十六歳で静かに息を引き取りました。その表情は、愛に満たされてとても穏やかでした。「ああ、私は本当に幸せだった」と、サヨは静かに微笑みました。
　
【現在の魂の気づき】
父親のいない家庭に生まれ、12歳で母親を失くして天涯孤独となってしまったサヨの幼少期は過酷でしたが、寂しくても前を向いて生きていこうという強さを感じました。そして、母親の愛をしっかり受け止めて、自分を生んでくれたことに感謝できる心を持っていました。
過去世でサヨが「幸せ」だと実感したことは、今の自分が持っている、かけがえのない宝物と同じでした。安らぎと、愛する家族の笑顔。穏やかな日常こそが、自分にとって本当に大切で、かけがえのないものだと気づかされました。